LPWAとSIGFOX

6月前半に行っていたことを、備忘録としてまとめておくことにします。

何かとつなげてみたい

いくつか工作をしてきて、次は通信するものを触ってみようと考えていました。
あまり複雑なものでなくとも、何かとつながることで便利に活用できることもあるかと思ったのです。

当初は部屋の中でWifiやBluetoothで接続するものを考えていました。
しかし以前購入したはずのESP32-DevkitCが一向に見つからないのです。
※ESP32-DevkitC・・・Wifi/Bluetooth機能を搭載したESP32マイコン

そこで、同様の廉価ボードを購入するつもりで調べているとLPWAという文字が目に入りました。

LPWAとは

まずIoTでよく使われる無線通信方式をまとめてみます。


参考
IoTに照準合わせる無線通信、低消費電力うたう新規格が続々Digital Innovation Lab

PAN系/WAN系/LAN系などそれぞれ通信距離や通信速度などに特徴があります。
もっと近距離ではNFC等のBAN(Body Area Network)系もあるようです。

LPWA(Low Power Wide Area)についてはここ数年よく目にするようになりました。


参考
IoTやM2Mで注目される無線通信技術「LPWA」とはTechFactory

主要IoT通信規格と認証方式 (Ryosuke Uematsuさんのスライド)

国によって周波数帯が異なるため、海外通販で販売されているLPWAモジュールを購入しても日本で使用できない場合もあり注意が必要です。
(周波数帯の違いと技適の関係)

検索して見つけた資料をご紹介します。
大学の資料だけあってとても分かりやすくまとまっています。


参考
無線ネットワークとIoT(pdf)金沢大学 MeRL

LPWAを採用することのメリットについて

LPWAの特徴をざっとまとめてみます。

  • 非セルラー系のLPWA(SIGFOX/LoraWan等)は免許不要の周波数帯を使用する。
    日本では920MHz帯。
  • 通信速度は非常に遅い。しかし通信費は格安。
  • 通信エリアが広い
  • Bluetoothのようなペアリングは不要

例えば室内で使用する場合、2.4GHz帯を使用するLAN系(Wifi 2.4GHz)/PAN系(Bluetooth/ZigBee)等は、同じく2.4GHz帯を使用する電子レンジや無線キーボード/マウス等と干渉してしまうことも考えられます。
また屋外で使用することを考慮すると、WifiやBluetoothでは通信距離が不足します。
Raspberry PiやArduinoなどのシングルボードコンピュータで3G LTEを使用することもできますが、消費電力と通信費が気になります(昔でいうパケ死の可能性)。

LPWAはkmレンジで通信範囲が広く、また通信費も格安です(100円/年~(契約数による))。
免許不要なためゲートウェイ設置も個人で行うことが可能です。
消費電力が少ないことも特徴の一つですね。
反面、送れるデータ量が非常に少ないため、用途を選ぶ通信手段です。

SIGFOXとは

LPWAの中のSIGFOXについて

検索して見つけた資料(pdf)のリンクを貼っておきます。概要が理解できると思います。


参考
Sigfoxネットワーク紹介資料総務省 KCCS資料(pdf)

  • SIGFOXはフランスの通信事業者
  • 他の非セルラー系LPWAと異なり1国あたり1事業者
  • 日本では京セラコミュニケーションシステム(株)(KCCS)がパートナー事業者となっている
  • 一度に12Bytesしか送れない
  • 一日あたり最大140回の送信が可能

日本でのSIGFOX(KCCS)は他のLPWAよりも動き出しが早かった印象があり、現時点で人口カバー率95%までカバーエリアを広めているそうです。
ただ久しぶりに耳にした「人口カバー率 xx%」という言葉は参考程度にしかなりません。
以前携帯電話やPHSで経験された方もいると思いますが、都市部では問題なく使用できても、山間部など人口が少ない地域では使用できない可能性も高いため注意が必要です。(陸地面積の95%ではない)

それでも急速に人口カバー率を広めていることで力の入れ具合が伝わってきます。

https://www.sigfox.com/en/coverage

当初、LPWAとしてLoRaWanを検討していたのですが、都心部ではない自宅近辺でもSIGFOXのカバーエリアに入っていることが確認できたことで、SIGFOXであれば自分でゲートウェイを設置しなくともデバイスのみ購入すれば使用できるために興味が湧きました。
そこで実験用デバイスとして最も低コストで始められるSIGFOXを選択することにします。

通信エリアが広く電池駆動が可能ということは、例えば自動車のGPS情報を定期的に送信しておくことで盗難等の際に役立てることができるかもしれません。

実験用にSigfox Shield for Arduinoを購入

使い慣れたArduinoで簡単に動作確認できた方が敷居が低いため、ひとまずSigfox Shield for Arduinoを購入してみることにしました。

Arduino UNO R3の上に載せる形で取り付けるShieldで、加速度センサ(MMA8451Q)/温湿度・気圧センサ(BME280)が搭載されています。
このため、センサー値を拾ってSIGFOXで送るテストを手軽に行うことができます。

その分、Arduino UNO R3を使用することもあって消費電力はそれほど低くないようです。
このあたりも実測していきたいと思っています。

Sigfox Shield for Arduino (UnaShield)について

・日本のパートナー事業者kccs-iotさんのサイト

参考
Sigfox Shield for Arduino(V2 / V2S)kccs-iot

・Sigfox Shield製作元UnaBizさんのサイト

参考
UnaShield Developer Guideunabiz.github.io

各種サンプルの記載も豊富で参考になります。

販売店について

国内では以下の4社で取り扱っています。
どのお店で購入してもSIGFOX回線を1年間無料で使用することができます。


参考
Sigfox デバイス株式会社ソラコム


参考
Sigfox Shield for ArduinoSWITCH SCIENCE


参考
Sigfox Shield for Arduino (RCZ3) / シグフォックス シールド (回線使用権1年間付)共立エレショップ


参考
Sigfox Shield for Arduino V2S【UNASHIELD-V2S】マルツオンライン

SORACOMさんから購入すると、SORACOMさんのサービスを使用することが前提となります。
SIGFOXクラウドへ直接接続することができないことに注意が必要です。

SORACOMさんのサービスも使いやすくできているようですが、SIGFOXとはどういうものかを試してみたかったため、直接SIGFOXクラウドへ接続することができた方がよいと考えました。
SORACOMさん以外からはどこから購入しても同じです。
マルツさんで購入するのが一番お安く済むかもしれません。

自分はマルツ秋葉原本店の店頭で購入しました。

開封する

RCZ3というのが日本向けのモデルです。

Arduino UNO R3に合わせた形状のボードとアンテナが付いています。

Arduino UNO R3互換ボードと並べてみました。
Arduinoはオープンハードウェアなので互換品が安価でたくさん出回っています。

上に載せてみました。
今回使用したArduino UNO R3互換ボードも青色だったため、たまたま統一感が出ていますね。

通電させてみたところです(LEDが光っていることしか伝わらないですね)。

GROVEコネクタが付いているので、各種センサー類も手軽に接続できるようです。


参考
Groveシステムを使用して何ができるのか?Qiita @mine820さん

ちょっと長くなってきたので今回はここまで。
基本的な稼働確認や、クラウドとの連携(AWS IoT/Amazon DynamoDB等)は別のエントリーにします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です